決算早期化

【決算早期化】ボトルネックを解消するコツとポイント

上から決算を早くしろと言われているのだけど、どうすれば早くなるのだろう?

地道にPDCAを回し、業務改善をすれば、確実に早くなりますよ

もっと早くできないのかと思ったのですが、時間がかかりませんか?

時間はかかるかもしれませんが、急がば回れ。正しいやり方を行えば、確実に早くなります。やり方のコツもありますよ!

「決算早期化」をどうすれば実現できるか悩まれている。
上層部から決算が遅いので、何とかしろと指示を受けている経理マネージャーや担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、インターネットで「決算早期化」を検索しても、参考になる記事がなかなか見つからないのではないかと思います。

少なくともキリオには、現場の経理目線で書かれた、生きた情報がないと感じています。

キリオは、前職の某IT企業で経理部の部長職をしていましたが、決算早期化を親会社から求められました。依頼があった時は、全然期日に間に合わずとても苦労しました。

紆余曲折ありましたが、親会社の期限に間に合うことが可能になり、決算早期化を実現できました。一連の取り組みが評価され、経理部全体で「社長賞」を頂きました。

この記事でお伝えしたいこと

キリオの経験からは、「決算早期化」は、会社全体や経理のフローが滞る業務をいかに解消させるかであり、PDCAを地道に回せば実現できるマネジメントの問題です。

この記事では、決算早期化を実現されたいマネージャーや、生きた具体的な事例を知りたい方向けに、キリオが模索してきたノウハウをご紹介することで、少しでも実務のヒントにお役に立てられればと思います。

(この記事は、さしあたり単体決算を前提としています。)

この記事を読むとわかること

決算早期化は、PDCAを地道に回すことであり、一朝一夕に解決できる特効薬はありません。
しかし、PDCAを行うにはちょっとしたコツやノウハウがあります。
ただしいやり方で行えば、決算早期化は必ず実現できます。

決算早期化について検索してもなかなか良い記事が見つからない…

インターネットで「決算早期化」を検索しても、具体的で良い記事が出てこないのが本音ではないでしょうか。

そもそも、決算早期化のニーズは少ないかもしれませんが、この考え方は、他の全てのプロジェクトにも応用できます。

決算早期化の記事を見つけても、例えば、業務プロセスの見直しや会計やERP等のシステムの関するコンサルタント会社やシステム会社の記事広告が多いのではないでしょうか。

100歩譲っても、具体性に少し欠いたり、自社における現場の肌感覚とずれていたりする内容が多いとも感じます。

コンサルタントや会計士などの専門家が書く記事は、教科書的に正しいかもしれませんが、理想論でどこか腹落ちしません。

結局、応用しようと思っても、じゃあ実際にはどうしたらよいの?となり、本当に参考にはならないと感じるのです。

専門家は、経理としては手を動かさず、現場での体験や悩みを知る機会もなく、かゆいところにまでどうしても手が届かないのではないでしょうか。これは仕方がないことです。

また、決算早期化を主張されている専門家には、分析に力を入れ、監査調書のもとの「リードシート」を作成すれば、監査担当の会計士の負担が減り、決算早期化が実現できる主張もあります。

分析を早め、会計士の負担を減らすことはそのとおりですが、現場の肌感覚からすると、監査を早くするレベルにもなく、業務のスケジュールが守られない。

要求した資料などが期日どおりに出てこない。担当者が毎回どうしたらよいか悩んでしまっている、あるいは、忙しくて十分準備する時間がない…。もっと次元が低いレベルでつまずいているようにも感じます。

また、決算早期化について会計士にも相談しても、あまり参考になる提案は出ません。
ある会計士からのアドバイスは、決算早期化の実現には、ある程度、見積りを行ったらどうかといったアドバイスを頂きました。

会計は見積りの世界ですが、見積りは確定値と大きくずれないことが求められ、精度の高い会計上の見積りを出す前提が、現場からみると、そもそもハードルが高いと感じます。
会計上の見積りがさっさとでるくらいなら、とっくに決算は早まります。

決算早期化とはマネジメントの問題

決算早期化について、キリオなりに結論を申します。

決算早期化は、システムの問題ではなく、業務フローを、いかに滞りなく回していくか運用の問題であり、プロジェクトとしてのマネジメントの問題です。

そして、決算早期化は、上がいくら早くやれとトップダウン的にいくら騒いだところで実現されません。あくまで、現場の担当者の理解と協力があって、実現ができるものです。

決算早期化は、経理や会社の業務について地道にPDCAのプロセスをまわし、業務をうまくまわす仮説をたて、うまくいったかどうかの検証していくプロセスであり、一朝一夕で実現はできません。

どうしても、1年で実現は難しく、少なくとも2年以上かかってしまいます。

2年以上かかる理由は、決算は年1回であり、効果が分かるようになるには、次回の決算を待たねばなりません。

当然、最初の1回目ではうまくいきませんので、2回目以降でようやく確認できるからです。

決算早期化は地道にPDCAを行うにつきる

今すぐ何とかしたいと検索して、ワラをもすがる思いでここまで読んだのに、決算早期化は地道にPDCAを回すしか方法がなく、少なくとも2年以上かかると言われれば、なーんだ…と当たり前…とガッカリさせる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、決算早期化の実現は、ある程度長期的に腰をすえて行うしか方法はないのではないかと思います。

身も蓋もないため、この記事から離脱されるかもしれませんが、決算早期化のためPDCAを回すコツはあると思いますので、ご紹介したいと思います。

PDCAとは、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)のサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務の改善を促す技法を意味します。

この「Plan」「Do」「Check」「Action」の頭文字をとったものをPDCAサイクルと呼ばれる、有名で重要なマネジメント手法です。
なお、決算早期化のPDCAでは、以下のとおりにしたいと思います。

P : 計画を作成することで仮説を構築する
D :決算業務を行うこと
C :アンケートとインタビューを通じて振り返りを行う
A :決算のボトルネックの特定し、改善案検討・仮説構築(再)する

計画・仮説の構築には、できるだけ具体的で網羅的に決算項目を洗い出すことがポイント

まず「P」は、決算スケジュールを作成することです。
決算スケジュールの作成は、できるだけ具体的で網羅的に業務や決算処理内容が盛り込まなければなりません。

決算処理の内容が具体的で網羅的になっていない場合、決算における担当者ごとの守備範囲があいまいとなります。あいまいな部分は放置され、結果的に漏れやヌケにつながり、決算が遅延していきます。

もし決算業務について具体的で網羅的でないならば、すぐに業務棚卸をしましょう。
できるだけ各担当者に具体的に細かく洗い出してもらっていく作業が先決です。

また、チェックしなければならない各勘定科目も、できる限り細かく担当分けが重要です。
勘定科目の一つひとつまで、誰が確認担当者なのかも明確にしましょう。

決算業務の把握ができましたら、次に洗い出された決算処理項目について、誰がいつまでにできるかを一覧表などにまとめて整理します。
一覧表ができましたら、ガントチャートにもとづく決算スケジュールの作成にとりかかります。

ガントチャートとは、縦軸に「作業項目」、横軸を時系列とした一覧表で、「誰が」「いつまでに」「何をやるか」という情報を一目瞭然にします。

ガントチャートの作成とは、決算スケジュールを視覚的に把握・理解するうえでとても大事ですので、是非作りましょう。

決算処理項目の期日が早い順番にガントチャートに落とし込んでいきますと、決算の作業の一連の工程が、おおむね右下がりの階段状の一本道で表示されるようになるのが理想的です。

細かく工程を分け、時系列で決算処理内容を並べることによって、工程同士のつながりが浮かびあがってくると思います。

また、決算処理項目には、簡単に処理できる項目や処理が煩雑な項目など濃淡や軽重などのレベルのちがいが出てきます。
右下がりの階段状の一本道に決算の工程を視覚化することで、スケジュールのどこの部分が脆弱か「ボトルネック」が見えてきます。

ボトルネックとは、プロジェクト(決算)全体の進捗に影響するような問題要因の箇所を意味します。瓶の口が細くなって、水の流れを邪魔することから名づけられています。


決算の工程のボトルネックが把握できれば、決算を遅らせる要因(クリティカルパス)がどこになるかかについて、仮説を立てられます。

クリティカルパスとは、重大な経路という意味で、プロジェクトを構成するタスク(工程)をつなげた時に最も長くなる経路を意味します。プロジェクト(決算)は複数の工程に分かれる場合がありますが、他の工程を短縮しても、クリティカルが短縮しなければ、プロジェクト自体は終わりません。

ただし、「P」の段階では、仮説を立てることを優先しますので、改善策が分かれば検討するぐらいでよいので、この段階では特に何もしません。スケジュールの把握に努めましょう。

決算スケジュールのガントチャートが完成しましたら、決算前に経理のメンバーにスケジュール計画をよく共有しておくことも大事なことです。

決算業務は正確に記録をつけていくことが大事です

次は「D」の部分ですが、ガントチャートに落とし込んだ決算スケジュールに基づき、実際に決算業務を行う段階です。

実際、決算となると忙しいため、特にあまりできることはありませんが、ひとつだけしっかり行わなければならないことは、「決算業務に関する進捗記録」を正確にとることが肝要になります。

正確な進捗記録をつけていかなければ、後ほど検証するための振り返りができなくなります。

正確な進捗記録をつけていくことで、メンバーにも決算のどこに問題が生じているか見える形となり、どこの工程がボトルネックなのかが理解されます。

正確な進捗管理は、各メンバーに共有するエクセルのガントチャートなどを常に更新してもらうのが良いでしょう。

ただし、メンバーも進捗記録の更新を忘れますので、マネージャーは常に業務が終わったかどうかの確認を頻繁にし、進捗管理表のメンテを促すことが必要です。

振り返りは、アンケートと担当者への個別インタビューで

実際に最初で計画した決算スケジュールでうまくいくことはほとんどなく、何らかの問題が出てきます。

決算が終わりますと、忙しさから解放され、ほっとして全てが終わった気になります。
しかし、ここでホッとしていてはいけません。

決算の振り返りは必ず行いましょう

決算の振り返りを行わずまた次回決算を終えてしまうと、未来永劫、決算が早期化することはありません。必ず決算の振り返りを行いましょう

ただし、決算の振り返りは、いくつかテクニックがありますので、注意点についてご紹介します。

決算の振り返りということで、全員出席のミーティングによる反省会を想定されるかもしれません。
しかし、全員参加のミーティングは、経験上、何ら改善策が出てこず失敗します。

各担当者は、全体の遅れは自分には関係ないものと思っていますし、全員の前で発言しなければなりませんので意見は声の大きなメンバーにかき消され、良い意見が引き出せなくなるからです。

また、全員参加の反省会となると、問題のあった工程の担当者は自分が問題なのかと責められる感覚におちいり、反省会という名の「裁判」になってしまうからです。

しかし、決算早期化は現場の担当の理解と協力がなければ到達できませんし、各メンバーからの具体的な意見や反省を引き出せない限り前に進みません。

早期化の答えは、各メンバーが持っているといって過言ではありませんので、現場の声を引き出さなくてはなりません。

では、現場の声を引き出す良い方法とは何かあるのでしょうか。

まずメンバーの声を引き出すにはアンケートで

現場の声を引き出すには、アンケートを作成し、テキストで記入してもらうことが大事です。今は、アンケート作成ツールなどでも簡単にアンケートが作成できるので、そうしたサービスを活用するのもよいでしょう。

アンケートを実際に記入してもらうことを通じて、各担当者に冷静に振り返りをしてもらう効果が期待できます。
ミーティングは、どうしてもその場の雰囲気や思い付きなどに流されてしまい、問題点を網羅的に吸い上げるのが難しくなります。

インタビューはチャットで行う

次に各メンバーに決算のアンケートを記入してもらったら、アンケートの内容を確認し、各メンバーへのインタビューへとつなげていきましょう。

アンケートに改善策のヒントが分かりやすく書かれているケースもありますが、アンケートの回答結果に対する疑問やツッコミが出てくるはずです。インタビューでは、アンケートに対する疑問やツッコミを各担当者にぶつけてみましょう。

インタビューは、各担当者に直接面と向かって行うのも良いのですが、時間を調整して合わせるのも労力がいりますし、お互い時間の無駄になりますので、メールやチャットでインタビューを行うのも、良い意見を引き出すうえで効果的です。

よく、面とむかわずメールやチャットでのインタビューでは、関係が希薄でよそよそしいという意見も聞こえそうです。

しかし経験上、面と向かって行うより、お互いある程度時間をかけて冷静に一語一語考えながら行う、テキスト上のインタビューの方が、結果的に良い意見を吸い上げられます。

吸い上げたインタビューの結果をふまえて改善策を検討する

振り返りのアンケートとインタビューで生の声を吸い上げますと、改善のヒントにつながるアイディアが出てくるものです。

決算の時に行った正確な決算業務の進捗に関する記録とインタビューによって出されたアイディアをもとに、次回決算に向けての改善策を練りましょう。早期化を阻害させる要因が明確にできれば、次回の決算での対応策を考えることができます。

次回決算に向けての改善策を練る際に注意すべきポイントは、決算業務について、前倒しできる部分がないか、他の業務とかぶらないようにできるか、分散できる余地はあるのか、あるいは、マニュアルなどを作ることができるのか、できるだけ「論理的」に原因と対策を詰めていくことです。

無理のあるスケジュール計画では達成されません。可能な限り合理的で無理のないスケジュールとして、次回のガントチャートに落とし込むことです。

翌年(あるいは四半期であれば翌期)は、作成された新たなガントチャートに基づき決算を行ってまいります。

決算の早期化は、王道となるPDCAを地道に毎年(毎回)繰り返すしかありません。しかし、確実に効果が表れてくると思います。

決算が早くならない会社とは、PDCAの「P」と「D」の部分までは行いますが、「C」と「A」は行っていないはずです。

決算が終わるとホッとしてしまい、「C」と「A」はどうしても疎かにしがちになります。しかし、決算早期化は入念な準備があって成り立ちますので、終わった次から次回決算に向けて、面倒くさがらず「C」と「A」も回す努力をしたいものです。

「【決算早期化】ボトルネックを解消するコツとポイント」のまとめ

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

この記事では、決算早期化を実現したい経理の方向けにキリオが取り組んできた決算早期化方法をご紹介しました。

決算早期化のポイント

「決算早期化」は、会社全体や経理のフローが滞る業務をいかに解消させるかであり、PDCAを地道に回せば実現できるマネジメントの問題です。

読まれた結果、「何だ、当たり前ではないか」と思われる方も多いのではないかと思います。
しかし、キリオは今まで決算早期化についていろいろ悩み調べましたが、経理担当の人の具体的に書かれたノウハウを目にしたことがありません。

その意味では、経験に裏付けられた生きた記事なのではないかと考えています。
キリオがブログで経理関係を書く理由は、なかなか自分が調べても出てこなくて苦労した点をできるだけ書いていくことです。

この記事が、決算早期化を目指すすべての方に少しでも役立つことを願っております。

 

ABOUT ME
キリオ
就職氷河期に社会人となり、某メーカーで経理を担当している、どこにでもいる中年サラリーマン。 過去2社の転職を経てようやく3社目にして、念願であった、学生時代に入りたかった製造業(会社ではない。)への転職を果たしました。 社会人になって読んだ「投資戦略の発想法」と「金持ち父さん 貧乏父さん」に感銘を受け、経済的独立を目指すべく、10年以上個人投資家を続けてきています。零細ですが、株式投資から始まり不動産投資を行います。 学生時代以来、自分の中では「組織」と「個人」のあり方がテーマではあるものの、なかなか周囲と共有できないことが多いと感じられ、また、発信力を鍛えることが大事と思い、このブログを始めるキッカケの一つに。 キリオノートは雑記ブログですが、キリオ自身、お金の話が好きです。 キリオノートは、「お金」の特化ブログではないものの、友達の前や職場であまり表立ってお金の話ができないこともあり、どうしてもお金系の話題が多くなるかもしれません。 一方で、仕事、投資、また、読んだ本や考えたこと、自分が迷い悩んできたこと、経験などを振り返りながら、試行錯誤しながら、モヤモヤした頭を整理する場です。 趣味は映画(現在は子育てに追われ停止中…)、読書、料理など。 性格は、細々継続していく地道なタイプ。腹筋運動・腕立て・軽いスクワットを続けて、学生時代から体重だけはほぼ変わず。(自慢できるオナカではありませんが、腹筋運動はもうすぐ30年。)そこだけ取り柄かもしれません。 保有資格は、日商簿記1級、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト 現在、子育て真っ最中。子どもは可愛いものの、自分の時間がなかなか取れないのが今一番の悩み。 一男一女の父。